「魅力化」進む地方の教育環境 

「魅力化」進む地方の教育環境 

<魅力高まる地方の教育環境> 

コロナ禍を経てリモートワークが盛んになったことで、地方移住へのハードルが下がりつつあります。 
子どもにどんな環境で育ってほしいかを考えたとき、豊かな自然や人とのつながりを求めて、地方に魅力を感じる方も多いのではないでしょうか。 

地方の魅力として、こうした魅力は思い浮かびやすいですが、 近年、福祉・教育に力を入れる地方自治体が増えています。 

 地方の場合、都市部と比較して進学塾や習い事の数は未だ少ない傾向にあります。 
都市と比較した際の地方のディスアドバンテージとして、
地方における学校外教育の機会の少なさは長年課題視されてきましたが、
近年、こうした体験格差・教育格差に危機感を抱く地方自治体と民間企業が協力して、 
地域の中高生専用の学習塾・学びの場(=公営塾)が開設される傾向にあります。 

その数は調査によれば170といいます(公営塾研究プロジェクト, 2023, p.2)。 

「その地域の学校に通う中高生」というだけで、 
様々な体験学習への参加や、きめ細やかな学習支援・進学指導を受けることが可能です。 

<探究活動から進学指導まで~地域みらい留学~> 

地方における教育環境の充実は、こういった学校外の学習支援の充実にとどまりません。 
学校教育そのものも進化を遂げつつあります。 

近年、地方の公立高校ではその土地の地理環境や歴史・文化を活かした独自の学科やカリキュラムの設置が進んでいます。 
町内にとどまらず、全国から生徒募集をする場合もあり、 
これを「地域みらい留学制度」といいますが、登録校は2025年時点で173校。 

留学中の生活費用は寮費込みで一か月約1~6万円と、安価で抑えられる傾向にあります。
親元を離れ、多彩なバックグラウンドを持つ同級生と切磋琢磨して成長するチャンスです。 

実際に「地域みらい留学」のHPを訪れると、
「南国暮らし」「島ぐらし」「雪国暮らし」といったロケーションから 
「英語・国際系」「プログラミング・情報系」「めずらしい学科・コース」など、 
気になる条件から学校を検索できます。 

 ー地域みらい留学HP 「学校を調べる」ページ>ー

そして、もうお気付きの方もいるかもしれませんが…… 

「学校を調べる」のページの検索条件の一つには、 
「公営塾」の文字があります!(写真左下丸囲み部分) 

地域の学校の魅力の一つとして、学校と協同した「公営塾」の存在が認知されつつあるようです。 

公営塾のある地域みらい留学実施校は、現在25校あります(みらいく編集部調べ)。 

 ー公営塾のある地域みらい留学実施校

北海道 

北海道東川高等学校、北海道大空高等学校、北海道平取高等学校、北海道弟子屈高等学校、北海道白糠高等学校 

東北 

岩手県立西和賀高等学校、岩手県立大槌高等学校、宮城県南三陸高等学校、福島県立只見高等学校 

関東 

茨城県立大子清流高等学校 

北陸 

新潟県立阿賀黎明高等学校、石川県立能登高等学校 

近畿 

和歌山県立串本古座高等学校 

中国 

島根県立矢上高等学校、島根県立隠岐島前高等学校、岡山県立和気閑谷高等学校 

四国 

愛媛県立野村高等学校、愛媛県立上浮穴高等学校、高知県立室戸高等学校、高知県立嶺北高等学校、高知県立梼原高等学校、高知県立大方高等学校 

九州 

熊本県立上天草高等学校、大分県立国東高等学校 

沖縄 

沖縄県立久米島高等学校 

(2026年2月26日時点。 

一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム (n.d.).「学校を調べる」「超えて、行こう。 地域みらい留学」< https://c-mirai.jp/schools?environments=public-cram-school&school=&club=&department=&freeword=&search=true >(2026年2月27日閲覧)を基に作成) 

 上記の25校では、公営塾が併設されているのはもちろん、 地域の地理や歴史を活かした様々な学びが可能です。 

一つ一つ個性ある25校ではありますが、 その中でも特に「その地域ならでは」の学びを展開している学校をテーマごとにいくつかピックアップします。 

異文化理解部門 

・北海道平取高等学校 
学校指定科目に「アイヌ文化」があり、地元講師の方からアイヌ文化を系統的に学べます。日本の中での異なる文化を深く理解する経験は、自分の中での「ふつう」の基準を相対化する機会になるとともに、社会におけるマイノリティーの存在へ目を向けるきっかけにもなりそうです。さらに、令和7年度からはハワイでの研修がスタートし、異文化理解への様々なアプローチが試みられているようです。 

地域みらい留学 北海道平取高等学校ページ <https://c-mirai.jp/schools/374a4569-d068-4765-899b-f284d95f7eac> 

・北海道東川高等学校 
東川町は美しい自然を活かした「写真の町」としてのPRや、日本で唯一の公立の日本語学校の設置をすすめ、多文化共生・文化の町として国内外から注目を集めています。 
人口の約四分の一が外国籍といい、日本にいながら様々な言語文化に触れることができるでしょう。学校内・学校外での交流が盛んなだけでなく、生徒の海外留学支援も充実しています。 

地域みらい留学 北海道東川高等学校ページ <https://c-mirai.jp/schools/32dea47b-01c4-487c-96bf-4fd5fe5a3d3c> 

独自の学科部門 

・和歌山県立串本古座高等学校 
日本初めての民間小型ロケット発射場「スペースポート紀伊」がある町、串本町にあるこの串本古座高等学校には、「宇宙探究コース」があります。宇宙産業関連企業や大学などと連携した探究的な学びが行われ、2年次の専門科目には「宇宙ビジネス探究」「宇宙観測と利活用」「宇宙航空工学 」が。高校生の時点で大学で学ぶような専門的な内容を先取りできるこの環境は、自分の興味のある分野が定まっており、とことん極めたい人にとっては絶好のチャンスと言えそうです。 

地域みらい留学 和歌山県立串本古座高等学校ページ 
<https://c-mirai.jp/schools/5f21a0f9-b1b3-4c57-bc95-cf927775f5d7> 

「宇宙探究コース」パンフレットPDF 
<https://www.kushimoto-h.wakayama-c.ed.jp/wp-content/uploads/sites/46/gakkoup3.pdf> 

<こんなお悩みありませんか~探究か受験か~> 

都市部の公立高校の場合、受験指導は手厚いですが、進学実績が重視され、探究的な学びはさほど重要視されない傾向にあります。 
そこで、「受験勉強」以上の学びを求めると、必然的に私立高校や中高一貫校といった選択肢になります。
独自のアドミッションポリシーやカリキュラムが魅力的ですが、
半面、受験勉強に関しては生徒の自主性に任せて学校側が放任主義になることも。
総合型選抜を実施する大学が増加傾向とはいえ、現状の受験制度では画一的な学力試験が未だ主流である現状をふまえると、 都市部の私立に通った場合、結局受験のために別途塾に通うことになります。 

都市部の場合、進学指導の手厚さと探究的な学びはトレードオフになり、
両方手に入れようとすると、私学の高い学費に、塾代が上乗せされることになってしまいます。 

 ところが上記の公営塾がある「地域みらい留学」実施校だと、 

☑机の上を飛び出した主体的な学び 
☑学校外でのプラスアルファの受験勉強の機会 

 この二つが、費用を抑えながら同時に実現できます。 

さらに、公営塾の有無を問わず、一学級の人数が少ない地方では先生の目が行き届きやすく、きめ細かい指導を受けられるというメリットもあります。 

地方こそ、主体的な学びも、進学のための勉強も、どちらも現実的に可能になります。 

 <おわりに>

「シニア層の第二の人生の選択肢」というイメージが強かった地方移住ですが、
近年の地方における教育・医療・福祉インフラの整備により、 
若い世代・子育て世代こそ注目すべき選択肢の一つになっています。 

今回は特に「地域みらい留学」に注目しましたが、
オンライン・対面共に、学校説明会や制度の詳しい説明会の開催も盛んなようです。
 
今回紹介した3校はほんの一部です。
「地域みらい留学」が気になった方は是非一度HPを訪れて、自分だけの「気になる一校」を探してみてください。 

 出典
一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム (n.d.).『超えて、行こう。 地域みらい留学』https://c-mirai.jp/>(2026年2月27日閲覧)
公営塾研究プロジェクト (2023).「公営塾全国自治体調査 結果レポート(第1弾)」 <https://publicjuku.com/wp/wp-content/uploads/2023/06/%E5%85%AC%E5%96%B6%E5%A1%BE%E5%85%A8%E5%9B%BD%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%AC%AC%EF%BC%91%E5%BC%BE%E7%B5%90%E6%9E%9C%E3%83%AC%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%88%EF%BC%88%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%96%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88PDF%EF%BC%89FIN.pdf>
和歌山県立串本古座高等学校(n.d.).「コース紹介(宇宙探究コース・文理探究コース・地域探究コース)」 <https://www.kushimoto-h.wakayama-c.ed.jp/counseling/departments/> (2026年2月27日閲覧 )