「屋台がないお祭り」が教えてくれたこと。~壽都神社例大祭で感じた、地域の温かさ~

「屋台がないお祭り」が教えてくれたこと。~壽都神社例大祭で感じた、地域の温かさ~

皆さんは、「お祭り」と聞くとどんな光景を思い浮かべますか

 

ずらっと並ぶ屋台に、焼きそばやたこ焼きのいい香り。
子どもたちは金魚すくいやくじ引きを楽しんで、大人は片手に飲み物を持ちながら歩く。

 

私も、そんなお祭りをイメージしていました。

 

でも、7月に研修で寿都町に滞在している中で参加した「壽都神社例大祭」は、私が思っていたお祭りとは少し違いました

 

屋台や出店がたくさん並ぶわけではありません。

 

神輿ややっこ、獅子舞が町中を練り歩き、地域全体がお祭りの舞台になります。

最初は「こんなお祭りなんだ!」と驚いたのですが、終わってみると、一番印象に残ったのはお祭りの内容ではありませんでした。

 

地域の皆さんの温かさ。

 

それが、このお祭りで一番心に残ったことでした。

 

暑いでしょ!飲んでいきな!」

神輿ややっこが町を歩いていると、いろいろなお宅の前に飲み物や食べ物が並んでいます。

 

「暑いから飲んでいきな!」

「これも食べて!」

「まだまだあるから遠慮しないで!」

 

そんな声があちこちから聞こえてきます。

 

最初は「本当にいただいていいのかな…?」なんて思っていたのですが(笑)、皆さんが本当に自然に迎え入れてくださるので、気づけば私もちゃっかりごちそうになっていました。

「もっと食べな!」

「まだあるよ!」

そんな言葉を掛けてもらうたびに、なんだか心まで温かくなるような気持ちになりました。

獅子に頭を噛んでもらったり、地域の皆さんとお話ししたり。

初めて参加したお祭りなのに、「初めて」という感じがしなかったんです。

 

もちろん、地域には長年受け継がれてきた伝統があります。

 

でも、それ以上に「人」がつくる空気が、このお祭りの魅力なんだなと感じました。

 

 

「地域のお祭り」って、こういうことなんだ。

 

私が今まで参加してきたお祭りは、「見に行くもの」「楽しみに行くもの」という感覚が強かったように思います。

 

でも、壽都神社例大祭は少し違いました。

 

地域の皆さんが一緒になってつくり、一緒に楽しみ、一緒に受け継いでいく。

 

だからこそ、子どもたちも自然と地域の大人と関わる機会があります。

神輿を担ぐ人。

やっこを務める人。

沿道で応援する人。

飲み物や食べ物を準備する人。

 

みんながそれぞれの役割を持って、お祭りをつくっている。

 

その姿を見て、「地域のお祭り」ってこういうことなんだな、と改めて感じました。

「この町が好き。」

 

そんな気持ちは、こういう経験から生まれるのかもしれません。

地方では、高校卒業後に進学や就職で一度町を離れる人が多くいます。

 

でも最近では、「地域への愛着」が強い人ほど、進学後にUターン就職で地元へ戻る割合が高いという研究もあります。

 

もちろん、「戻ってきてね」と言葉で伝えるだけでは、その気持ちは育ちません。

小さい頃から地域の人に声を掛けてもらったり、地域の行事に参加したり、「この町っていいな」と思える経験を積み重ねること。

 

その一つひとつが、将来につながっていくのではないでしょうか。

今回のお祭りを通して、そんなことを考えました。

 

 

公営塾も、「地域を好きになるきっかけ」の一つでありたい。

 

私たちBirth47は、全国の自治体と連携し、公営塾を運営しています。

公営塾というと、「勉強を教える塾」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。

 

もちろん、それも大切な役割です。

一人ひとりの目標に合わせた学習を行い、高校の魅力化や進路実現を支えることは、公営塾の大きな役目です。

 

でも、今回寿都町で過ごしてみて思ったのは、それだけではないということ。

地域には、勉強だけでは学べないことがたくさんあります。

 

地域の人とのつながり。

 

伝統を受け継ぐこと。

 

「おかえり」「また来年もおいで」と自然に声を掛けてもらえる環境。

こうした経験も、子どもたちの成長には欠かせないものです。

だからこそ、公営塾もただ学力を伸ばすだけではなく、「この町で学んでよかった」「この町っていいな」と思える場所でありたい。

そんな存在を目指して、地域の皆さんと一緒に歩んでいきたいと改めて感じました。

 

 

最後に

今回、壽都神社例大祭に参加して、「地域の温かさ」という言葉の意味を改めて感じました。

 

地域の皆さんが自然と声を掛け合い、子どもから大人までみんなで一つのお祭りをつくる。

 

その光景を見ていると、「この町が好き」という気持ちは、こういう日常の積み重ねから生まれていくんだろうなと思います。

 

公営塾も、その地域の未来を支える取り組みの一つです。

勉強だけではなく、人とのつながりや地域への愛着も大切にしながら、子どもたちが「この町で学んでよかった」と思える環境をつくっていきたい。

 

そんなことを感じた、今年の壽都神社例大祭でした。

参考文献

・寿都町ホームページ「壽都神社例大祭」
・内閣官房 デジタル田園都市国家構想・地方創生関連資料
・文部科学省「地域学校協働活動」
・株式会社Birth47 行政協同事業部 資料