この風車が回り続ける理由。~人口約2,500人の寿都町が未来に残そうとしているもの~

この風車が回り続ける理由。~人口約2,500人の寿都町が未来に残そうとしているもの~

寿都町に来ると、まず目に飛び込んでくるのが、日本海沿いに立ち並ぶ大きな風車です。

青い空と海を背景に、ゆっくりと回り続けるその姿は、寿都町のシンボルと言ってもいいかもしれません。

 

この町は、人口約2,500人の小さな町です。

 

実は寿都町は、全国でも早い時期から風力発電に取り組んできた町です。

海から吹く強い風を「地域の力」に変え、新しい産業として育ててきました。

 

でも、この町が未来へ残そうとしているものは、風車だけではありません。

 

本当に未来へつないでいきたいのは、この町で暮らす人たちの笑顔であり、子どもたちが「ここで育ってよかった」と思える環境です。

寿都町では、その未来をつくるために、「子育て」「教育」「地域産業」の3つを大切にしながら、まちづくりを進めています。

 

 

子育てしやすい町は、住み続けたくなる町

 

地方では、「子育てがしやすいかどうか」が、その町に住み続けるかどうかを考える大きなポイントになります。

寿都町では、安心して子育てができるよう、さまざまな支援制度を整えています。

 

例えば、子ども医療費助成制度

子どもは突然熱を出したり、思いがけずケガをしたりすることがあります。そんなときに「病院代が心配だから様子を見よう…」ではなく、安心して受診できる環境を整えています。

 

また、妊娠中から保健師による家庭訪問も実施されています。(妊婦栄養訪問など)

妊婦訪問や新生児訪問では、お母さんやお父さんの不安や悩みに寄り添い、子育ての相談ができる体制が整っています。

 

さらに、おむつを使用する家庭には、指定ごみ袋を配布する制度もあります。

子育てを経験したことがある方なら分かると思いますが、おむつは毎日使うものだからこそ、ごみもたくさん出ます。

そんな日々の小さな負担にも目を向け、「少しでも子育てしやすい町にしたい」という想いが、この制度には込められています。

 

こうした支援は、一つひとつを見ると決して派手ではありません。

 

でも、「困ったときに頼れる」「安心して子どもを育てられる」

その積み重ねが、「この町で暮らしたい」という気持ちにつながっていくのだと思います。

 

 

地域産業を育てることは、町の未来を育てること

 

寿都町の魅力は、子育て支援だけではありません。

古くから漁業で栄えてきたこの町では、今も地域の資源を生かした産業づくりが進められています。

 

代表的なのが、ブランド牡蠣「寿(ことぶき)かき」

寿都の海で育った牡蠣は町の特産品として知られています。

実際に、私も食べてみましたがクセがなくジューシーながらも後味はさっぱりした、とてもおいしい牡蠣でした。

 

そのほかにも、しらすやホッケなどの水産加工品のブランド化にも力を入れ、地域ならではの魅力を全国へ届けています。

 

そして、寿都町を語るうえで欠かせないのが風力発電です。

海沿いに出ると見える風車は、景色の一部であるだけでなく、「自然の力を地域の力へ変える」という寿都町の挑戦そのものです。

 

さらに、「この町で働き、この町で暮らしてほしい」という想いから、移住・定住にも力を入れています。

住宅のリフォームに対する補助制度、定住を後押しする住宅施策など、若い世代が安心して暮らせる環境づくりも進められています。

地域に仕事があり、安心して暮らせる環境がある。

その土台があるからこそ、「この町で生活したい」という選択肢が生まれていきます。

 

 

公営塾が目指しているのは、「勉強」だけではありません

私たちみらいくが携わる公営塾も、そのまちづくりの一つです。

 

もちろん、生徒の学力を伸ばすことは大切です。

大学進学を目指す子もいれば、公務員や就職を目指す子もいます。

一人ひとりに合わせた学習を行い、それぞれの夢を応援しています。

 

でも、公営塾が本当に目指しているものは、それだけではありません。

私たちが大切にしているのは、地元高校への進学率を高めることです。

高校までを地元で過ごすことで、友達との思い出ができ、地域の人とのつながりが生まれます。

文化祭、部活動、地域のお祭り、アルバイト。

そんな何気ない日常の積み重ねが、「この町が好き」という気持ちを育てていきます。

 

そして、その気持ちは将来にもつながります。

大学進学や就職で一度は都市部へ出るかもしれません。

 

でも、地元への愛着があれば、

「いつか寿都町に帰ってきたい。」

「地元で働きたい。」

「子育ては地元でしたい。」

そう思うきっかけになります。

 

実際に、高校までを地元で過ごした人ほど、大学卒業後にUターン就職を選ぶ傾向があることも報告されています。

 

だから、公営塾のゴールは大学合格ではありません。

その先にある「町の未来」を見据えています。

 

 

教育は、未来への一番大きな投資

 

どれだけ素晴らしい産業があっても、その町で働く人がいなければ地域は成り立ちません。

 

どれだけ魅力的な制度があっても、住みたいと思える町でなければ人口は増えません。

だから寿都町では、子育てを支え、産業を育て、教育を充実させることを一つの流れとして考えています。

 

子育て支援で安心して暮らせる環境をつくる。

 

地域産業を育て、働く場所を守る。

 

教育を通して子どもたちの可能性を広げ、地元高校の魅力を高める。

 

そして、いつか大人になった子どもたちが「帰ってきたい」と思える町であり続けること。

 

これこそが、寿都町が目指しているまちづくりなのではないでしょうか。

 

 

私たちも、この町の未来を一緒につくる

 

私たちは町の学力向上のみを目指しているのでありません。

 

子どもたちが夢を持ち、自分の未来を描き、地元を好きになること。

その積み重ねが、10年後、20年後の地域をつくっていくと信じています。

風車は今日も、日本海から吹く風を受けながら回り続けています。

その風が町にエネルギーを届けるように、子どもたち一人ひとりの学びや成長も、寿都町の未来を動かす大きな力になっていく。

私たちみらいくも、その未来を地域の皆さんと一緒につくっていきたいと思います。

参考文献

・寿都町公式ホームページ(町の概要・子育て支援・移住定住・産業振興・総合戦略)

・北海道で暮らそう!「寿都町」移住・子育て支援情報

・北海道国民健康保険団体連合会「市町村医療費助成制度一覧」