公営塾で「選ばれる高校づくり」 北海道 寿都町公設民営塾の中高生支援

高校支援がまちづくりに重要なわけ
官民協同の学習支援・学校支援の取り組みである公営塾。
公営塾の取り組みは1993年に沖縄県北大東村ではじまり、 現在全国に約170あると言われています(参考文献1,3)。
高校の有無は、医療機関の有無と同じインパクトがあるともいわれます。
国土政策局による、Uターン者に対する離島した際の理由のアンケート調査によれば、
離島の際の理由・不安要因には「就職のため」(38.5%)に次いで、「進学のため(高校)」が二番目に上がっています。
(「平成25年度 新しい離島振興施策に関する調査」7頁より作成)
子どもの人生において、高校進学は一つのターニングポイントになります。
この調査は離島に関するものですが、離島に限らず地方では、よりよい教育環境を求めて高校進学をきっかけに町外に出る世帯が少なくありません。
逆にいえば、教育環境を整えることは、若年層の町外流出の抑止力になります。
若年層の定着を考えた際に、学校支援は、教育振興以上の大きな意味をもちます。
教育振興=まちづくりであるといえます。
高校だけではない 公営塾の学校支援
ちなみに、上の調査では、小中進学のために町外に出る人は、高校進学のために町外に出る人に比べ少なくなっています。
高校に関しては、学習内容の専門性が高まるため、よりよい環境を求める人が多くなると推察されます。
こうした背景から、公営塾は高校生対象に開校することが多いですが、
近年はあわせて小中学生むけの支援も多くなってきています。
たとえば、弊社の公営塾に限った話をすると、開校のかたちとしては
1)高校生対象 2)中・高校生対象 3)小・中学生対象 の3パターンがあります。
高校支援の重要性は言をまちませんが、たとえば2)のように、中学生支援をあわせて行うことで、
地元の高校へ進学することの呼び水になります。
中学生からすると、身近で勉強に励む高校生の姿はロールモデルとなりますし、
「地元の高校で大学進学が目指せる」ことを実感するきっかけになります。
今回の記事では、中高生むけ支援の公営塾の例として、寿都町公設民営塾をご紹介します。
中高生対象 寿都町公設民営塾の取り組み
地元進学率向上に向けて
北海道 寿都町は、札幌市から車で三時間ほどの位置にある、人口約2400人あまりの町です。
寿都町公設民営塾は、地元唯一の高校である寿都高校の大学進学者増加による地元進学率向上および寿都高校の存続を目的として、2019年(平成31年)に開校しました。
教室では、高校生にまじって中学生が机を並べています。
自習室を利用する高校生に触発され、最近は中学生の自習室利用も増えているとか。

もともと寿都町は、高校生への検定・模試費用の補助や交通費補助をはじめ、
選ばれる高校づくり=高校魅力化に力を入れていましたが、
公営塾開校を境に、地元進学率はより安定して高い水準を保つようになりました。

※地元進学率:町内の中学生のうち、地元の高校に進学する生徒の割合
学区内で三番目の高校に
寿都町の飛躍は、地元進学率にとどまりません。
一人ひとりの習熟度にあわせたカリキュラム設定と個別指導により、
公営塾の開校以来、寿都高校で初となる北海道大学進学者を輩出するなど、 進学実績に関しても実績を積み上げています。
象徴的なのが、道コン事務局の高校偏差値ランキングで、寿都高校が「後志管内」(学区)で3位になったことです(2026年)。
2019~2025年度版では、小樽市の進学校以外では岩内・俱知安(寿都近隣の、より規模の大きな町)の高校しか載っておらず、寿都高校は掲載されたことがなかったといいます。
| 高校名 | 合格者平均SS | 合格者平均内申点 |
| 小樽潮陵 普通 | 52.2 | 276B |
| 小樽双葉 特別進学 | 49.8 | 265C |
| 寿都 普通 | 43.1 | 234E |
| 小樽桜陽 普通 | 41.0 | 218E |
| 倶知安 普通 | 40.6 | 218E |
(北海道学力コンクール事務局 (2025)『マイルストーン 北海道高校入試合否調査記録』97頁を基に作成)
2026年は開校から8年。
中高6年間のサイクルが一周し、ちょうど公営塾による学習支援が地元に根付いた頃合いといえます。
「地元にいながら、経済的負担なく希望の進路を叶えられる環境が整ったこと」が、
高校の魅力として認識され、 高校偏差値・地元進学率という数字に結実したのだといえます。
そしてこれからも、地元の中・高と連携しながら、一人一人の夢に寄り添っていきます。
おわりに
北海道 寿都町の公営塾による学習支援の成果を、今回はデータでお届けしました。
過去の記事には、寿都町公設民営塾の先生へのインタビューもあります。
この記事とはまた違った角度から、塾の雰囲気や取り組みについて知っていただけます。
あわせてご覧ください。
広がるインターンの輪 寿都町公設民営塾 – みらいく | 教育とスポーツで地方創生
弊社では、現在16の自治体と協同で公営塾の運営を行っており、
この記事に掲載しきれなかった事例がまだまだたくさんあります。
次回は、小・中学生対象の学習支援についてご紹介します。
次はどんなまちの、どんな取り組みについて知れるのでしょうか?
記事をお楽しみに!
参考文献
1)公営塾研究プロジェクト(2023)『公営塾全国自治体調査 結果レポート(第1弾)』
2)国土政策局離島振興課(2013)「平成25年度 新しい離島振興施策に関する調査」
3)照井将人・早坂淳(2024)「公設型学習塾の全容把握と今後の検討課題」『長野大学紀要』 第45巻 第3 号、1—13頁(223−235頁)
4)北海道学力コンクール事務局 (2025)『マイルストーン 北海道高校入試合否調査記録』
・寿都町公設民営塾 HP:寿都町公設民営塾
・寿都町公設民営塾 X(旧twitter):寿都町公設民営塾(@suttujuku) / X







