地方で起業 メリット・デメリット

地方×起業シリーズも、これで大詰め。 
これまでは起業支援金や手続きをはじめ、制度メインのお話でしたが 
今回はいよいよ、地方での起業のやりがいや苦労する点、 メリット・デメリットについて解説します。 

地方でのハンデをプラスに変える方法も提示しているので、最後までご覧ください

1)低コストで始められる 

 

企業の経費には固定費と変動費があります。 
固定費・・・売り上げにかかわらず発生する費用のことで、従業員の基本給や福利厚生費、家賃や設備代、光熱費など 
変動費・・・売り上げに連動して増減する費用のことで、原材料費や商材の輸送費など 

 

 

 都市と地方で最も違う(地方の方が節約できる)のは、一般的に、人件費家賃です。 

―家賃― 
賃料に関して、東京のそれを100%としたとき、一番低いところで群馬県が57%、

次いで山口県が58%、鳥取県・愛媛県・佐賀県が59%となります。 
高い順だと東京の次が神奈川県で86%、次に大阪府が80%という並びになっています。 

都道府県別賃料 

都道府県名 東京を100とした時の賃料 
群馬県  57% 
山口県  58% 
鳥取県・愛媛県・佐賀県  59% 
中略  
大阪府  80% 
神奈川県  86%
東京都 100%

 全国賃貸管理ビジネス協会(2026)「全国家賃動向」 <https://www.pbn.jp/yachin/2026/04/>を基に作成 

 ちなみに、神奈川・大阪を除いては、軒並み60%台に落ち着いている傾向です。 
「地方の賃貸料が安い」というよりはむしろ、「東京の賃貸料が高すぎる」ということなのかもしれません。 

 ―人件費― 
もう一つ、地方と都市で相場が異なるのが人件費です。 
最低賃金時間額はその地域の「労働者の生計費」「労働者の賃金」「通常の事業の賃金支払能力」をもとに定められ、
都道府県ごとに異なります。 
令和8年度の場合、最も高いのが東京都の1,226円、最も低いのが高知県・宮崎県・沖縄県の1,023円と、
地域によって最大約200円の差があります。 

 起業して事業が軌道に乗るまでには時間がかかるからこそ、 
売り上げに拘わらず発生する出費をある程度抑えられるのは、地方での起業の大きなメリットといえます。 

2)補助金が利用できる 

起業に対する補助金には様々なものがあります。 
過去に当HPでご紹介した「起業支援金」は、中でも交付額が高く、対象となる事業内容に幅があるのでおすすめです。 

以下、「起業支援金」のおさらいです。 

実施者 内閣府
対象者

東京圏以外の都道府県や市町村又は東京圏内の 条件不利地域において社会的事業の起業を行う人 

対象となる事業

子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など、地域課題の解決になるもの 

補助率 2分の1
補助上限額  200万円

ほか、小規模起業に対する補助金として「小規模事業者持続化補助金」があります。 
創業型の場合、最大交付金額は200万円(特例を利用した場合は250万円)と、小規模起業の補助金としては高めの設定です。 

 起業支援金との違いは、制度の趣旨と、それにより生じる対象経費の範囲です。 
起業支援金に関しては、補助を受けられる経費に関して「起業等に必要な経費」という大まかな記載しかありません。 

 一方、「小規模事業者持続化補助金」は、「売上を伸ばすための攻めの投資」を支援する補助金であり、
対象経費が細かく定められています。 

対象となる経費:
機械装置等費、広報費、ウェブサイト関連費、展示会等出展費、旅費、新商品開発費、 借料 、委託・外注費 

 小規模事業者持続化補助金では、人件費や光熱費などの固定費は対象ではありません。 
申請の際は「事業の持続的な発展のために何が必要で資金がいるのか」を はっきりさせる必要があります。 

地方の課題解決が事業の眼目なら「起業支援金」。
販路開拓に関し明確なビジョンがあるなら「小規模事業者持続化補助金」を選べば、審査に通りやすいでしょう。 

3)競合が少ない―さきがけになれる  

競合が少ない分、「一番乗りになれる」=ビジネス展開しやすいというのがあります。 

 ただし、すでに同業他社が高いシェアを誇っている場合はこの限りではありません。 
企業と地元の人の繋がりが強い分、新規参入は都市部に比べて難しくなる可能性が高いです。 

 もちろん、仮に「100%新しい事業」を自分一人で生み出すのは難しいにしても、 
マーケティングと、差別化(見せ方)次第で、これまでにないニッチな需要にはまる可能性は十分あります。 

 ニーズを知るにはその土地と人を知り、好きになるのが一番。 
土地勘も人脈も一朝一夕でできるものではないからこそ、 
地域おこし協力隊を移住・起業の前のワンクッションにするのはおすすめです。 

4)やりがい―地域課題にダイレクトにコミットできる 

はじめに断ると、事業の規模やコミュニティが小さいことは、 
市場規模が小さく、収益を上げにくい可能性と紙一重であることは否めません。 

 しかし規模が小さい分、「自分が今何をしていて、誰の役に立っているか」把握しやすいというのがあります。 

 大きい組織に属するのもすばらしいですが、 
事業の規模が大きくなればなるほど、工程や機能は分散され、 
「自分」という部分が全体にどう寄与しているのか見えづらくなるということがあります。 

 「自分のやっていることが役に立っている」「自分で全体が把握できる」という実感は、 やりがいにつながりますし、 
小規模の事業を自分で立ち上げることの特権といえます。 

地方での起業 デメリット 

地方での起業は、地方ゆえの困難も伴いますが、 捉え方次第でプラスに転じることができます。 

1)市場規模が小さく、収益を上げにくい

メリットの4)で軽く触れましたが、 

人口が少ない=潜在的な顧客が少ないということなので、 この点において、地方での起業は不利です。 

<対処法 例えばのはなし> 
しかし、ここで考えてみたいのが 
「みんなに必要とされるもの」を生み出すのは至難の業だということです。 

人の数が多くなればなるほど、その中の「最大公約数=全員に受け入れられる着地点」を探すのが難しくなってきます。 
仮に100万人の人に囲まれたとしても、自分がアプローチできる層は、 
結局そのうちの数パーセントに限られるかもしれません。 

一方、コミュニティが小さいからこそ、「今何が必要とされているか」が分かり、 
きめ細やかなニーズの把握ができる可能性があります。 
そうすれば、周りの老若男女、あらゆる人を幸せにできる最適解が見つかるかもしれません。 

刺さる戦略と課題をくみ取る力次第で、「市場規模の小ささ」はプラスに転じる可能性があるといえます。

2)人材の確保が難しい

事業を立ち上げるとなると、いくら小規模でのスタートでも、 
成長していくにつれ自分一人では回らないことが増えてきます。 

ただ、地方だとどうしても人材確保が難しいということがあります。 

<対処法 例えばのはなし> 
求人の条件やはたらく環境を整備するのはとても大事ですが、 
それと同じくらい大事になってくるのが、共感できるビジョンの有無です。 

ライスワークライフワークという言葉があります。 
ただお金を稼いで余裕のある生活をしたいだけ(=ライスワークがほしいだけ)なら、 
地方でのスモールビジネス以外の道がいろいろあるわけです。 

困難があったとしても人が人についていくのは、 
「このビジョンが叶った世界を見てみたい」 
「この人の夢なら、一緒に叶えたい」 

と思えたときなのではないでしょうか。 

「お金を稼ぐこと」が仕事をする目的の一つであること自体は何も悪くないですが、 
起業の目的がそれだけに集約されてしまうとしたら、 
周りの人からすれば、「自分一人でどうぞ」となってしまいますよね。 

求人の条件や環境を整えること(=ライスワークとしての魅力)が大事なのは言うまでもありませんが、 

✓自分の事業で、地域(周りの人)にどんな貢献ができるのか 
✓自分の事業は、働く人の自己実現にどう貢献できるのか      など、 
その仕事の、ライフワークとしての魅力を自分から発信することが、 
人を集める「吸引力」になるかもしれません。 

まとめ 

地方での起業、一筋縄ではいかないからこそ、 
「自分は誰のために、なぜこれがしたいのか」 という軸がぶれないことが大事です。 

メリットもデメリットも表裏一体。 
軸がぶれなければ、デメリットをメリットに変えることもできるかもしれません。 

読んだ人が、地方での起業のメリット・デメリットを把握して、 
少しでも「地方での起業っていいな」と思ってもらえたら嬉しいです。 
次はあなたの番! 

起業支援金について
https://chihousousei.info/2026/05/29/post-5666/

参考文献 
厚生労働省(2025)「地域別最低賃金全国一覧」 
 <https://saiteichingin.mhlw.go.jp/table/page_list_nationallist.php>(2026年6月15日閲覧) 
全国賃貸管理ビジネス協会(2026)「全国家賃動向」 <https://www.pbn.jp/yachin/2026/04/>(2026年6月15日閲覧) 
創業手帳(2025)「地方で起業を目指す!メリットや成功事例、スタートアップ支援制度の種類・特徴を解説」
 <https://sogyotecho.jp/startupsien-tihou/>(2026年6月15日閲覧) 
中小企業庁(2026)「小規模事業者持続化補助金について」 
 < https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shokibo/jizoku/>(2026年6月15日閲覧)