コロナ契機に注目集まる「地方」×「起業」~起業支援金について~

コロナ契機に注目集まる「地方」×「起業」~起業支援金について~

注目される「地方」×「起業」

私たちの生活のあり方の「常識」を大きく変えたコロナ禍。 
コロナ禍を契機としたテレワークの普及が、地方移住の大きな追い風となったのをご存知ですか? 

コロナ契機に高まる地方への関心

内閣府のアンケート調査によると、2021年に地方移住に関心のあった東京圏在住者の割合は、2019年(コロナ禍以前)のそれと比較して、+8ポイントになるといいます(2021, 内閣府, p.6)。 
理由としては、「人口密度が低く自然豊かな環境に魅力を感じたため」「テレワークによって地方でも同様に働けると感じたため」といった声が多いそう(ibid, p.6)。 
実際、2020年には、東京都への転入超過数は前年に比べて縮小した一方、
多くの非・東京圏で転出超過数が前年と比較して減少しました(ibid, p.6)。

ー地方での起業にも追い風ー

さらに、コロナ禍をきっかけに地方暮らしの魅力が再発見されたのと同時に、
地方での起業にもスポットライトが当たっているようです。 
2019年と2020年の開業率を比較すると、東京・千葉・埼玉などの東京圏ではマイナスだったのに対し、それ以外の多くの地方では開業率がプラスになりました(2022、内閣府、pp.6-7)。 
コロナ禍で地方移住への関心が高まったのにあわせて、移住先での起業を検討する人も増えているとみられます(ibid, p.6)。 

とはいえ、 
✓起業って難しそうだけど、私にもできるのかな? 
✓起業は起業でも、地方での起業ならではのやりがいや大変さって? 
そんな疑問を抱く人も多いはず。 

これからしばらく「みらいく」では、 
ハードル高めに感じられる「地方」×「起業」が少しでも身近に感じられるような記事をお届けします。 
今回はまず、地方で起業する際に役立つ補助金「起業支援金」をご紹介します。 

起業支援金 Q&A

Q1:どんな制度なの? 

地域の課題を解決するような事業を起こすことで、  
起業にかかった費用の二分の一が支援され、最大200万円の交付が可能となる制度です。  
対象となる事業は、「子育て支援や地域産品を活用する飲食店、買い物弱者支援、まちづくり推進など地域の課題に応じた幅広いもの」 となっています。 

Q2:申請の流れは?

各都道府県の定める窓口に事業計画書をはじめとした必要書類を提出後、審査を経て交付が決定し、
実績報告の後に支援金が支給されます。 
見切り発車・資金ゼロの状態で支援してもらえるわけではないので、この点注意が必要です。 

また、必要書類や窓口、申請期間をはじめ、実施の要項は各都道府県によって異なるので、個別にしっかり確認しましょう。 

Q3:地域要件で注意することは? 

とにかくこういった地方関連の制度は地域要件がややこしいですね。 
今回もきちんと確認しましょう。 

内閣府のHPを確認すると、 
東京圏以外の都道府県や市町村又は東京圏内の条件不利地域において社会的事業の起業を行うこと」とあります。 

令和8年度の場合、東京都、神奈川県、埼玉県、大阪府はそもそもこの事業をやっていません。 
東京圏=東京・埼玉・千葉・神奈川なので、 
千葉県に関しては、対象地域が条件不利地域に絞られるということになります。 

年によって各都道府県における事業の実施の有無は変化する可能性があるので、 
その年の最新情報は、必ず自分で確認しましょう。 

逆に、令和8年度に実施している都道府県のうち、千葉県以外の都道府県であれば、
必ずしも条件不利地域で起業する必要はないということになります。 
都市での起業も対象になります。
 (それこそ、札幌市でも、仙台市でも、京都市でも、福岡市でもOK) 

また、申請する人がもともと住んでいる地域に関しても指定がありません。  
地元での起業でもいいわけです。  
間口の広い制度と言えるでしょう。 

Q4:東京圏の非・条件不利地域に住んでいる場合は、起業支援金の申請にあたり、移住の必要があると思います。この場合、見知らぬ土地でいきなり起業をすることになり、ハードルが高いと感じます。 

移住したての場所で起業、ましてや地域課題の解決になるようなものは、なかなか難しそうですよね。
地域課題って、移住したての人がすぐ分かるものではないと思います。 

ここで一つ提案してみたいのが、いきなり移住して起業する前に、
前回記事で紹介した「地域おこし協力隊」でワンクッションおくこと。 

その自治体が地域おこし協力隊を募集していればの話ですが、 
地域おこし協力隊の期間を、起業までの助走期間と捉えることもできます。 

自治体によっては「起業型」での募集を行い、隊員の裁量が大きい場合や、  
協力隊としての業務に支障がなければ副業がOKな場合もあるので、  
地域の特色を知って、人脈をつくる絶好のチャンスになります。  

また、起業支援金の制度には、都道府県又は市町村が選定する執行団体による伴走支援がセットになっているので、
この点は心強いと言えるでしょう。 

Q5:起業支援金とあわせて活用できる制度は? 

前述したとおり、本格的な起業の前に「地域おこし協力隊」でワンクッションおくのはとてもおすすめです。 

それともう一つ、当HPでも紹介済みですが、起業支援金とセットで紹介されることの多い「移住支援金制度」があります。 
セットで申請すれば、単身の場合最大260万円、世帯の場合最大300万円受給することが可能です。

ただし、順番としては先に起業支援金の申請を済ませる必要があります。この点だけ注意してください。
(※移住支援金の就労条件として、起業する場合は一年以内に起業支援金の交付決定を受けている必要があるため) 

まとめと次回予告

以上、地方で起業が注目されている背景と、起業支援金制度についてまとめました。 
コロナ禍ではいろいろな「あたりまえ」が見直されましたが、 
「都市で会社勤め」という働き方にもまた、一石が投じられたようです。 

さて、次回は 
「地方での起業にちょっと興味がわいてきたけど、起業の細かいことはよく分からない」 
という人のために、そもそも起業って何?というテーマでお届けします。 

法人と個人事業主の違いなど、超基本のきから解説するお役立ち記事です。お楽しみに! 

参考文献 
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2021)「政策課題分析シリーズ 20 新しい働き方 と地方移住に関する分析 ―コロナ禍
  における働き方への意識の変化をもとに―」 <https://www5.cao.go.jp/keizai3/2021/07seisakukadai20-3.pdf> 
内閣府政策統括官(経済財政分析担当)(2022)「政策課題分析シリーズ 21 地域の新たな 担い手としての移住起業者に関する
 分析 -実態と課題、地域活性化への影響について -」<https://www5.cao.go.jp/keizai3/2022/05seisakukadai21-3.pdf> 
内閣官房地域未来戦略本部事務局 内閣府地方創生推進事務局(n.d.)「起業支援金」『内閣官房・内閣府総合サイト 地方創
  生』  <https://www.chisou.go.jp/sousei/kigyou_shienkin.html>(2026年5月21日閲覧) 
内閣官房地域未来戦略本部事務局 内閣府地方創生推進事務局(n.d.)「地方へ移住しよう 地方で起業しよう 地方に就職しよ
 う 地方でのチャレンジを応援! ~地方へ移住、起業で最大300万円~」『内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生』  <
  https://www.chisou.go.jp/sousei/shienkin_index.html>(2026年5月21日閲覧) 

✓地域おこし協力隊についてはこちら 

✓移住支援金についてはこちら