まちづくりと教育について/足寄町長

足寄町長インタビュー

足寄町学習塾を開設し、町唯一の高校の存続・魅力化に力を入れている北海道足寄町 安久津町長に、足寄町の魅力や足寄町における高校の存在の重要性についてお聞きしました。

足寄町のまちづくりの基本的な方向について

足寄町は、阿寒国立公園と大雪山国立公園に彩られる優れた自然景観の中にあり、特に「オンネトー」は四季折々の色を彩りよく湖面に映し出し、周囲を取り巻く森林は道内有数の天然林として豊富な木材資源を蓄えています。この豊な大地の中で、町民みんなが知恵を出し合う「協働のまちづくり」を基本理念として、子どもも大人も、そしてお年寄りも、全ての人が「この町に住んでいて良かった」「この町に生まれて良かった」と思える。町民参加のふれあいのまちづくりを進めています。

いつまでもこのまちで暮らし続けられるよう「医療と介護、保健、福祉の連携システム」を推進しているほか、「総合計画」「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、各種施策に取り組んでいますが、特に人口減少克服を目指した総合戦略では、若い世代が希望に応じて結婚、出産、子育て、働き方ができる環境づくりを基本目標の一つとして掲げ、重点的な施策として子育て支援に力を入れ、出産祝い金贈呈の拡充、保育料の無償化、学童保育料の無償化、小学校、中学校、高校の給食費の無償化を実施しています。

また、総合戦略では足寄高校魅力化事業も実施しています。足寄高校は、現在は2間口ですが、入学者の減少により、1クラスとなってしまった学年も過去にはありました。このまま、生徒数が減少するといずれは町から高校が無くなってしまい、地域衰退に拍車がかかるという危機感から各種の施策を実施しています。

オンネトー
木質ペレット

足寄町学習塾開設から1年3カ月

足寄町では、これまで足寄高校の支援策として、入学時や見学旅行、通学に対する補助のほか、1年生の希望者全員をカナダへ派遣する事業などを行ってきました。さらに、平成27年度からは学校給食の無償提供や足寄町学習塾もスタートさせました。

これらの充実した支援策を町内外に周知することで、足寄高校に対する町民の見方やイメージが変化してきていると感じています。特に、小中学生のお子さんを持つ保護者の方をはじめ、高校進学を控える中学生の間で「足寄高校っていいかも」「足寄高校でしっかり勉強して、希望の大学へ入ろう」などといった声が多く聞かれるようになりました。

これまでも、足寄高校では小規模校の特色を生かし、一人一人の適性や能力に応じたきめ細かな指導を行っていただいておりますが、足寄町学習塾を開設したことで、都市部と同じような質の高い教育環境が整ったことが評価されているようです。

足寄町学習塾

今後の展望

町から高校がなくなると、子どものいる家庭はその地域で暮らし続けることが難しくなります。つまり、人口減少がより一層進むことは明らかです。
足寄高校は道立高校ですが、町内唯一の高校であり、足寄高校の存続は「高校だけの問題」ではなく、「町の存亡に関わること」と捉え、足寄高校の存続と一学年2間口確保に向けた支援を今後も続けるつもりです。

昨年10月には、遠方から入学する生徒でも安心して高校生活を送っていたくため下宿機能を備えた宿泊施設を整備したところ、想定を超える申し込みをいただき全12部屋がすでに満室となりました。足寄高校の魅力や各種支援策が広く浸透し、町内だけではなく、町外の生徒や保護者からも徐々に評価されてきた結果であると受け止め、来年度には更なる宿泊施設の整備を検討しています。

また、足寄町学習塾には、生徒の将来の選択肢を広げ、未来の可能性を引き出すため、今後も足寄高校と連携を図りながら、子どもたちの学びを支え、進学・就職実績に結び付けていただければと思っております。

足寄町の子どもたちの未来について

いつの時代においても、未来を創るのは子どもたちであり、子どもたちが夢を持ち、誇りを持つことができる町を創っていくことが我々大人の責任です。

子どもたちには、本町の教育目標に謳っているように、先人の方々が切り開いたこの足寄の地で、無限の創造力と強い意志を胸に、自分の信じる道を歩んでくれることを願っています。